先々週に参加した「第3回3Dプリンターで作ったルアー限定の釣り大会」で使用したロングニョロ系クランクが思いの外調子が良かったため、さらなる微調整をしておりました。
といっても、ウェイトの位置とアイの位置をコンマ数mm動かしただけですが、泳ぎが滑らかというか非常にスムーズになりました。
ウェイト位置とリップ形状とラインアイの位置に、泳ぎが良くなるスイートスポット的な組合せがあるようで、それを30分以上風呂場に籠ってひたすら探しておりましたら良い設定の組合せが見つかりました。
風呂場でのスイムテストのアクションはこんな感じ
なまめかしいアクションになりました。
試作ルアーの調整方法について
試作中のルアーのウェイト位置、リップ形状、アイの位置等の調整について、3Dプリンターでルアーを作り始めてからずっと試行錯誤してきました。
自己流ですが現状のルアーの調整方法を紹介したいと思います。
ボディ
試作品ですので、テストの際は、3Dプリンターで出力したものをコーティングせずにそのまま組み立てて使用してます。
水漏れしそうな箇所はあらかじめ2液式のエポキシ接着剤を擦りこんで防水しておきます。
リップ
リップは接着せずに、複数タイプのリップを用意して差し換えできるようにしておきます。
スイムテストの際のリップのアイの位置はこんな感じで複数の穴を空けて、
ラインアイをこんな感じに作れば、
アイの位置を簡単に変えつつテストできます。
アイの高さもアクションに影響したりするので、複数用意するとテストが捗ります。
また、リップを何度もボディに刺し直す必要があるため、リップの取り外しを繰り返すと、そのうち水漏れしてきますので、リップの基部にグリスをちょっとだけ塗って、防水しています。まあ少しはましになるという程度ですけども。
ウェイト
ウェイトは板オモリを複数枚張り合わせて、球形ウェイトと同じ重さのものを用意し、両面テープでボディに貼ってテストを繰り返せば、あらかたのセッティングを詰めることができます。
今回は再度の微調整でしたので、すでに作ってあるウェイト穴をマスキングテープで蓋をして、ウェイト位置を調整していますが、最初はウェイト穴を作らずに出力してしまえば効率的です。
ただし、これでは縦方向のウェイト位置が分かりませんので、上記のやり方でウェイトの横方向の位置を仮決めして、ウェイト穴を空けたボディを出力して、最終的なウェイト位置を決めていきます。
ウェイトの縦方向の位置については、予想以上にアクションに影響があることが多く、重要な要素だと思っています。
各部の設定の決定
スイムテストで横方向のウェイト位置をテストして、良さそうなウェイト位置の候補とリップ形状をいくつか選び、CAD上で修正し、複数のパターンのテストブランクを出力します。
テストブランクは深めにウェイト穴を空けて出力しておいて、穴に丸く切ったサーキットボード片(別にプラ板でもなんでも良いです)をいれて縦方向の位置を調整します。
ウェイトを入れたらマスキングテープで仮止めしてスイムテストしています。
スイムテストにより、ウェイトの横・縦の位置と重さ、リップ形状とラインアイの位置が決まったら、ボディの設計をCADで修正して再度出力し、スイムテストします。
スイムテストし良好な結果が得られれば、組み立てコーティング後、実釣テストに移行します。
実釣テスト
実釣テストには、可能ならアクション等の違う複数タイプのプロトを持ち込んで比較すると、さらに色々な知見が得られます。
アクションだけじゃなく、潜行深度や飛距離、フッキングしやすさ、バレやすさ等使ってみないとわからないですからね。
まとめ
この方法によりバルサを削ったり、粘土をこねてルアーを作っていた時に1~2ヵ月程度かかっていた調整が、真面目にやれば1~2週間でできるようになり、大幅な省力化を図ることができました。
仕事で夜遅く帰ってきたら、疲れてしまってバルサを削る余裕も粘土をこねる余裕も無かったりしますし、週末は当然、釣りに行きたいのでルアーを作ってなんかいられません笑
バルサを削る時間というのも楽しい時間ではあるのですが、いかんせん自由になる時間がないと難しいのが正直なところです。
3Dプリンターなら、スイッチひとつで寝ている間や会社にいっている間に、ボディを出力しておいてくれますからね。
また、3Dプリンターで作ったルアーは「自分の手で作り出してないので自作とは呼べない」「自分の手で削ってなんぼ」みたいな意見もあるとは思いますが、3DCADソフトでモデリングすることで形状を自分で「作り出した」ルアーですので、自分としては十分思い入れのある「自作ルアー」だと思っております。
今回紹介した方法なら時間的な負担も少なく、忙しくてルアーの自作を諦めた人でも、趣味として続けていけるのではと思います。
3Dプリンターでルアー作り、全くの素人でも、簡単にとは言いませんが慣れれば普通にできますし、特にハンドメイドの経験があるのでしたらかなり容易にルアーが作れると思いますので是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?